単純承認/限定承認/相続放棄
相続放棄と限定承認の期限
相続人は、自分が相続人になっていることを知ったときから三ヶ月以内に、相続の単純承認、限定承認、あるいは相続の放棄をしなければいけません。しかし、相続に利害関係を持っている人や検察官は、家庭裁判所に対してこの三ヶ月の期間をのばしてもらうことができます。
相続人は相続の承認・放棄をする前に、遺産の調査をすることができます。(民915条)
※「相続人になっていることを知ったとき」とは、死亡を知った後、自分が相続人であることを知ったときからとされています。(福岡高決昭23.11.29、高松高決昭48.9.4他)
法定単純承認
※上記の期間内に限定承認も相続放棄もしなかったとき、単純承認したものとして取り扱われます。これを法定単純承認といいます。(民921条2項)
単純承認
相続人が単純承認したとき、相続される人の権利義務を無限に受け継ぐ。仮に遺産が借金ばかりであった場合、単純承認した相続人は、自分の財産から返済しなくてはならない。(民920条)
限定承認
相続人は、負債や遺贈を、相続によって得た財産の限度内でしか払わないという条件を付けて相続を承認することができる。(民922条)
ただし、限定承認は相続人全員でしなければなりません。つまり、「私は限定承認するけど、あなたは単純承認してね」というのはムリです。ただし、限定承認者と放棄者が混在するのは問題ありません。
限定承認する場合、上記の期間内に、財産目録を作成して、家庭裁判所に提出し、限定承認を申し出なければならない。(民924条) その後、五日以内に遺産について債権を持っている者や受遺者全員に対し、限定承認をしたことと、一定期間内に申し出よということを官報などで二ヶ月以上公告しなければならない。(民927条)
この場合、相続財産を勝手に処分してはいけません。単純承認したことになるおそれがあります。
相続の放棄
相続の放棄は家庭裁判所に申し出なければ効力がありません。(民891条)
相続人が放棄すれば、この相続人ははじめから相続人ではなかった者として取り扱われます。(民939条)
また、相続が発生する前に相続放棄をすることはできません。(遺留分の放棄は相続発生前でもできますが、家庭裁判所の許可が必要です)
相続放棄しても、生命保険金などは受け取ることができます。
この場合も、相続財産を勝手に処分してはいけません。単純承認したことになるおそれがあります。
なお、非相続人が踏切事故などで損害賠償債務を負って死亡した場合、まず被相続人の配偶者とその直系卑属(子や孫)が相続放棄すれば、次順位の相続人である被相続人の尊属(親など)が相続人になりますので、親も相続放棄しなくてはいけません。親が相続放棄すると、被相続人に兄弟があれば次順位の相続人であるその兄弟が相続人になるため兄弟も相続放棄しなくてはいけません。
これらの相続放棄の申述は同時にすることはできませんので、それぞれ別々に手続きすることになります。
あさひ事務所
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